https://x.com/trilogy372/status/1793072147788972352
↑このポストは、なんの脈絡もなく書いたものではありません。
これは今も、海外FX詐欺に用いられているEAの大多数が、破綻を約束されたこのナンピン+マーチンゲール(以下ナンピンゲールと略す)であり、
その広まってしまった情報と誤った知識が訂正されることは、これからも産み出され続ける詐欺被害を減らす効果が期待できるのではと考えてのものです。
また、私どもが推奨するEAとその採用基準を引き合いに出し、
「ナンピンゲールEAの方が勝てるし勝っている」というコメントもいただいておりましたので、
このEAが如何に危険なものなのかということを周知、警告する必要があると考えました。
かくいう私も遡ること14年前、この悪魔の手法に魅了され口座破綻を経験した者です。そしてそれを世に広めてしまったひとりとして、自戒の念も込めて再度補足し解説します。
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ナンピンゲールという売買ルールはグリッド型に分類され、エントリーとイグジットが一対(以下トレード型と略す)で構成されるEAとは全く異なるものです。
大多数のトレード型EAでは、エントリー直後のSL設定により、損失を限定することが可能です。
例えば1%の利益を狙うトレードなら、「1%の損失リスクを覚悟してエントリーするには〇〇lotである」といった具合に、リスク許容し管理された状態で相場に参加することができます。
対してナンピンゲールEAは、初手エントリーから「負けを認めない手法」であるため、1%の利益を狙うのにも100%の損切り(=ロスカット)を前提にベットします。
前回ポスト(上)にも書きましたが、
エントリー時に1%の損失リスクをとってエントリーするより、最初から損切り設定なく、100%を掛けてエントリーする方が勝率は高いに決まってます。狙いは同じ1%なのですが。
「リスク100に対してリワード1の取引」それがナンピンゲールEAなのです。
複数のポジションを同時にイグジットするので、一見トレードレコード上では取引数が多いようにも見えますが、それは間違いです。
初手エントリー以外のエントリーは、その含み損を難平(ナンピン)するために取った、理にかなっていないエントリーなのです。
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海外FX詐欺にこの手のEAが悪用されて、日々おびただしい数の被害者を産み出しています。
しかしだまされた方々の特徴は、だまされたという意識がありません。単にEAで負けたと思い込んでいます。
無料配布されたEAを稼働している方と検討中の方々は、XAUペアのナンピンゲールには特にご注意ください。
もしそれを推奨、IB配布している人を発見した場合は、弊社までご連絡ください。
為替マーケットの取引量は1日に600兆円とも言われ、流動性リスクが最も低い市場であるのに対して、XAUの市場規模は極小です。
相対取引であることを悪用し、異常レートや値トビ、約定拒否、未約定を繰り返し、海外の悪徳業者と結託してあなたの資産を狙っているのかもしれません。
バックテストでどれほどきれいな右肩上がりの資産曲線を描いていたとしても、リアルでは真逆の結果となる理由の一つです。
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前回のポストと、↑ここまで説明してもなお「ナンピンゲールは勝てるEAだ」と主張する方がいます。
「現に6年?も勝ち続けているwakawakaというナンピンゲールEAがある」と。
そんなものは「たまたま」です。これはおそらく多くの同様EAの中の生き残りなのでしょう。
myfxbookが紹介されていたので、その内容を解説します。
上図は、infoウィンドウとchartウィンドウを5月25日にキャプチャしたものです。
Balanceデータに示された資産曲線から、このEAは2018年6月からスタートしたこと、
潜在リスクに見合わない利食いをコツコツ積み重ねながら、
そして今回、図に示されているDeposit(緑の丸、追加入金)が間に合わなければ、
ロスカット寸前まで追い込まれていた痕跡を確認することができます。
上図は、AUDNZD4H足チャートにオープンポジションを表示したものとオープンポジションの一覧です。
1.061〜1.089の180pipsという狭い値幅に9つのポジションがかたまり、
1.09から今回の最高値1.10の100pips幅にはひとつもポジションが存在していませんでした。
これはさらなるナンピンポジションを取りたくても、取れなかったというのが正解です。
オープンポジション一覧から、初手0.05lotに対して、最後の8ナンピン目には実に50倍の2.62lotでナンピンしており、その合計では120倍を超える建玉となってしまってます。
もし初手が順方向に動いて利食った場合は、この0.05lotの利益を獲得して終わっていたのですから、如何にリスクとリターンが見合っていないかという好例です。
AUDNZDという最もナンピンゲールEAに向いているであろう通貨ペアをもってしても、この結果です。
今回は「たまたま」皆さんのお祈りが天に通じたのか、奇跡的に3ヶ月ホールドした含み損のポジションを解消したようですが、https://www.myfxbook.com/ja/members/MischenkoValeria/waka-waka-ea/8379251
今回の出来事を教訓に再最適化を施さなければ、同様の危機は早晩訪れることになるでしょう。
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ナンピンゲールEAのバックテストが、意味のない任意の期間で取得されていたり、
ヒストリカルデータの不都合な部分を削除して取得しているということも考えられます。
もし手に入れた方は、それを配布した人間に騙されている可能性も疑って、
まずはご自身で、任意のスタートタイミングで複数のバックテストを行ってから稼働させてください。
設計思想、保有期間にも依りますが、数日、数週間、数ヶ月ずらした検証結果を見れば判断できるはずです。
必ず破綻するパターンが現れるとおもいますので、それがそのEAの辿るであろう未来を示しています。
もしバックテストができない設定になっているのであれば、それが答えです。決して使ってはいけません。そのEAは今すぐゴミ箱に捨ててください。
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何度も言いますが、グリッド型とトレード型には、期待する利益が同じであるにも関わらず、潜在的なリスクに関しては数百倍もの差があります。
グリッド型でも特に、損切りなしのナンピンゲールEAは、未来の破綻に見合った利益をコツコツ積み上げているだけで、どこかでそれを吐き出して終わります。
逆にバックテストとフォワード成績に乖離のないトレード型のEAというのは、
ファンドやインデックスの資産曲線と同様に、停滞期と下降期、そしてそれを上回る上昇期を繰り返しながら右肩上がりを描くものです。
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相変わらずロスカット破綻報告が後を絶たず、被害者を産み出し続けているゴールド系ナンピンゲールEA。
ここまで長文で「ナンピンゲールEAでの詐欺被害抑止」を目的として、その危険性を解説してきましたが、本提言に対して反論等がございましたら、必ずバックテストをご提示いただいた上で持論を展開してください。
これ以上、ナンピンゲールEAが勝てるという嘘の情報を流布しないでください。よろしくお願いいたします。
⇒ https://x.com/trilogy372/status/1796473508861784220
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