ロジック開発の心得


トレーディングロジックの開発は困難を極める。
そして、開発したロジックは厳しく評価してもしすぎることはない。

今、根拠が乏しく勝てることを謳うEAは氾濫している。
これは何かが間違っていることを意味するのかもしれない。

まず、連戦連勝の聖杯ロジックの探索は無意味である。
あなたが、神もしくは神に近い存在でない限り、そのようなロジックは見つけられない。
もし、連戦連勝を装うトレーディングロジックが存在するとしよう。
その中身は強烈な利小損大ロジックになっていることだろう。
このようなトレーディングロジックは利大損小というFXの原理原則に逆らうものである。
長い目で見て、勝てる可能性は小さいだろう。

次に、ベッティングルールの入ったトレーディングロジックの探索も、ほぼ無意味である。
ありがちなベッティングルールに、ナンピン、マーチンゲールがあり、
両者を合わせたナンピンマーチンゲールを使えば、トレーディングロジックの設計は容易である。
しかし、これらのベッティングルールにより、一般投資家が恒久的に勝てることはない。
資金に余裕がある者が、その一部をこのようなトレーディングロジックに任せることはありえるが、資金効率は悪くなる。
ベッティングルールを入れたトレーディングロジックは、FXにおいて重要な役割を担う資金管理を破綻させる可能性を上げる。

開発するロジックは単純であればあるほどよい。

参考記事;お金を汲み上げる仕組み

単純なロジックでは勝てないことが多く、勝つために色々な小細工を入れたくなる。
負けトレードを消すためのフィルターはないか、
負けトレードを勝ちトレードにするために、早めの利食いにしようか、
バックテストの結果が良く見えるように、様々なテコ入れを始める。

すると、確かにバックテスト上は、勝てるトレーディングロジックのように見えるかもしれない。
しかし、勝てるように見えるだけでロジックそのものの遺伝子は変わらないため、
フォワードで生まれてくる結果はテコ入れする前と同じである。

勝つために色々な小細工が必要なトレーディングロジックは、実運用に耐えない。
よって、このようなトレーディングロジックの開発は早々に諦め、
小細工の必要がないトレーディングロジックの探索へ早々に切り替えるべきである。

皆、自分が思いついたトレーディングロジックが勝てると信じたい。
しかし、現実は甘くない。
このジレンマは必ず発生する。

このジレンマを自分自身で解決できる強靭なハートの持ち主はなかなか存在しないだろう。
しかし、このジレンマを解決してくれる客観的アドバイザーは存在する。
それは、統計学的解析である。

開発されたトレーディングロジックは、一度、統計学的解析にかけるべきである。
統計学的解析により、自分の開発したトレーディングロジックは勝てるというバイアスを取り除くことができる。
本当に勝てる場合は、統計学的解析により肯定されるはずなので、自信を持って使うことができる。

なお、統計学的解析は、トレード数が多いほど精度が上がるため、
負けトレードを消すような小細工が入っているトレーディングロジックは排除できる。

参考記事;トレード回数の重要性
参考記事;相場は科学の現場
参考記事;そのドローは本物?
参考記事;そのPFは本物?
参考記事;トレード数とPF

優秀なトレーディングロジックは簡単には育てられない。
優秀なトレーディングロジックを搭載するEAを開発するためには、
トレーディング技術の向上のみならず、一喜一憂することなく淡々と開発を続けられる精神力を養う必要がある。