FX と 科学的分析
相場(トレード)には科学的分析(具体的には統計学的解析)が必須です。
先の記事で相場にはエッヂが潜むという話をしました。
利益が獲得できるエッヂを ” プラスエッヂ ” といい、
我々は、プラスエッヂ を持つ EA を採用しなければ勝てません。
では、どうやって、プラスエッヂを判定するのか。
その判定は、サイエンスの領域に通じます。
例えば、医薬品を開発する場合、
薬物 A が有効かどうかを判定するために、
有効性ゼロの化合物 B と比較します。
有効性が
薬物 A > 化合物 B
となれば良いわけです。
医薬品の開発はこのようにに単純ではないですが、
ざっくり言うと、こうなります。
この比較が、偶然ではないという判定をするために統計学的解析を行います。
実は、同じ事をFXにおいても、実行する必要があります。
ここに、ストラテジー X があります。
ストラテジー X にプラスエッヂが存在するかどうかを判定するためには、
以下のいずれかを証明できれば良いでしょう。
Profit factor > 1
Expected payoff > 0
とはいえ、如何なる統計手法を用いても、100%を保証することはできません。
では、具体的な数字を見ていきましょう。
Profit factor と 科学的分析
まず、Profit factor についてです。
ここに、神が作り出したストラテジー G があります。
ストラテジー G ; Profit factor = 1
この数字はストラテジー G が持つ絶対的な数字で、
神が作ったので間違いはありません。
つまり、ストラテジー G の持つ真の Profit factor と言えます。
とはいえ、このストラテジー G を使ってトレードしたからといって、
常に Profit factor = 1(口座残高 = ± 0) を維持するわけではありません。
トレードを重ねることで増減を繰り返し、
最終的には Profit factor = 1 に収束する方向に向かうわけです。
つまり、Profit factor = 1 になる過程において、
とりうる Profit factor の値は常に 1 ではなく、
上下しながら、1 に収束する方向に向かうわけです。
(Profit factor = 1に収束するためには、 ∞ のトレード数が必要です)
では、1 に収束する過程でストラテジー G のとりうる
Profit factor の ” 幅 ” はどの程度でしょうか?
ストラテジー G の Profit factor の ” 幅 ” の上限よりも
大きい Profit factor をストラテジー X が持つのであれば、
ストラテジー X には、プラスエッヂがあると言えます。
結論的には、ストラテジー G のとりうる Profit factor の ” 幅 ” はトレード数によって異なります。
ストラテジー G の 100 トレードであれば、Profit factor は、
90% の信頼水準で、0.7175 ~ 1.3937 の幅に収まります。
95% の信頼水準で、0.6722 ~ 1.4876 の幅に収まります。
99% の信頼水準で、0.5904 ~ 1.6939 の幅に収まります。
言い換えれば、ストラテジー X の 100トレードにおける Profit factor が、
1.3938 以上であれば、90% の信頼水準で、プラスエッヂを持つ。
1.4877 以上であれば、95% の信頼水準で、プラスエッヂを持つ。
1.6940 以上であれば、99% の信頼水準で、プラスエッヂを持つ。
と言い換えることができます。
なお、この ” 幅 ” を信頼区間といいます。
Expected Payoff と 科学的分析
次に、Expected Payoff です。
ストラテジー X のバックテスト結果は、
Expected payoff = 18.27
Total trades = 610
でした。
610回のトレードを執行し、
過去の相場では、たまたまExpected payoff = 18.27
であったストラテジー X がとりうる Expected payoff は、
99.0% の信頼水準で、2.2083 ~ 34.3411 の信頼区間に収ります。
99.9% の信頼水準で、-2.2850 ~ 38.8344 の信頼区間に収まります。
つまり、このストラテジー X には、
99.0 % 以上、 99.9 % 未満の信頼水準で、
プラスエッヂがあると言えます。
開発者、販売者およびユーザーのすべてが、
統計学的解析を用いて、自身が採用するストラテジーのプラスエッヂを評価する必要があります。
具体的な統計学的解析手法については、別の記事で説明します。
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