EAロジック設計論|第3章




フォワードで生き残るEAの条件

― Myfxbook統計で見える“長生きする構造” ―

バックテストがどれほど美しくても、
フォワード運用に入った瞬間に崩れるEAは少なくありません。

逆に、目を引くようなパフォーマンスではないのに、
何年も静かに生き残るEAが存在します。

両者の違いは、ロジックの巧拙(こうせつ)ではなく、
**「EAの生き方(構造)」**にあります。



■ 長生きするEAの共通点は“時間の使い方”にある

Myfxbookの統計項目「Duration(保有時間)」を見ると、
EAの性格が如実に現れます。

多くの短命EAは、Durationグラフがある“特定の時間帯”に密集しています。
たとえば、

  • エントリーから3時間以内で決済が集中している
  • 1日の中で特定のタイミング(ロンドン・NYオープン前後)に偏る
    など。

これは、恣意的な決済時間依存ロジックを意味します。

一方で、生存期間が長いEAほど、
Duration分布が広く、かつ自然なばらつきを持っています。

価格の動きに対して“反応して決済している”ため、
時間に依存せず、市場のリズムに合わせて呼吸しているのです。



■ 数字で見る:生存EAのプロファイル

Myfxbookで長期安定EAを分析すると、
以下のような傾向が見られます。

指標生存EAの傾向短命EAの傾向
Profit Factor (PF)1.1~1.3(控えめ)2.0超(過最適化)
Payoff Ratio1.5~2.5(損益バランス型)0.5~1.0(ナンピン・マーチン傾向)
Duration 分布分散あり(価格主導型)集中(時間主導型)
Z-Score / Expectancy低~中程度(自然分布)極端(偏った運用)
Risk of Ruin< 5%(低破綻率)> 30%(高リスク構造)

この表が示すように、
「派手な数字のEA」ほど短命で、
「地味だが整ったEA」ほど長生きする傾向があります。

それはまさに、EAの設計思想が運用寿命を決めているということです。



■ フォワードで生き残るEAの3条件

① 明確なリスク境界を持つ

SLを発注し、損失幅を「EA自身が理解している」こと。
これは単なる安全設計ではなく、
EAが“市場の構造に反応できる余地”を確保するための必須要件。



② 利益を「条件」ではなく「構造」で取る

テイクプロフィットを単一値で固定せず、
**価格構造(PIVOT/S&R/ボラティリティ)**に基づいて変動させる。
これにより、マーケットの呼吸とEAの動きが同期する。



③ “過去データへの適合”より“未来の一貫性”を優先

バックテストでのPFや勝率を追いすぎると、
EAは“過去相場専用機”になる。
むしろ、過去の誤差(ドローダウン)を許容できる構造こそ、
フォワードでの柔軟性を生む。



■ グラフで見る:EA寿命と安定性の関係

■ 結論:EAは「短期の天才」より「長期の生存者」

トリロジーが理想とするEA像は、
一時的にPF3.0を叩き出すEAではなく、
年利10%を20年積み重ねられるEAです。

勝率40%でも、ペイオフレシオ2.0なら長期で必ず資産は増えます。
むしろ、小さく負けて大きく勝つEAこそ本物です。

それを裏付けるのが、
Duration・Expectancy・Zスコアといった「時間と確率の統計的安定性」。
つまり、EAが“トレーダーとして生きている”かどうかの証です。





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